「そろそろ親が高齢になってきたけど、何から始めたらいいのか…」
「相続の話を切り出すのは気が重い」
「農地や土地があると、相続ってやっぱり大変?」
こんな不安を感じている方は、実はとても多いです。
特に、地主や農家の家庭では“資産がある”からこそ、相続が複雑になりがち。
親が元気なうちにこそ、家族で話し合い、準備を進めておくことが何より重要です。
本記事では、地主や農家の方にとってとくに大切な、
「今やるべき3つの相続準備」をわかりやすく解説します。
1. 親の「資産の棚卸し」をする【見える化が第一歩】
相続は「何を持っているか」から始まる
相続で一番最初にやるべきことは、親が持っている財産の把握=資産の棚卸しです。
土地、建物、農地、山林、預貯金、有価証券など、
すべて「どこに、何が、どれくらいあるか」を一覧にしておきましょう。
棚卸しに必要な情報リスト
資産の種類 | 具体的に確認すること |
土地・建物 | 所在地、名義、登記簿謄本、評価額、公図 |
農地 | 地目、農業委員会への届け出、地積 |
預貯金 | 銀行名、支店名、口座番号、残高 |
有価証券 | 保有銘柄、証券会社、数量 |
借入金・債務 | 金額、返済条件、連帯保証の有無 |
保険 | 契約内容、受取人、解約返戻金 |
地主や農家に特有の注意点
土地が共有名義になっていないか(相続でもめやすい)
農地が第三者に貸されている場合、契約内容を確認する
市街化調整区域や農業振興地域の制限も確認が必要
2. 親と「意思確認」をする【遺言・希望・継がせたい気持ち】
親の考えを聞いておくことが、最大の相続対策
相続では「誰が何を継ぐか?」が最も揉める原因です。
だからこそ、親の考えや希望を、元気なうちに確認しておくことが何より大切です。
どんなことを話すべき?
土地や農地を「誰に継がせたい」と考えているか?
長男に家を継がせたい気持ちはあるか?
他の兄弟に対する配慮や、代償分割の考えはあるか?
財産を「均等に分ける」ことと「公平に分ける」こと、どちらを優先するか?
遺言書の作成もおすすめ
親が自分の意志で財産をどう分けたいかを法的に明確にするには、遺言書が有効です。
✅ 自筆証書遺言でも法的効力はある(2020年から法務局保管制度あり)
✅ 公正証書遺言なら形式ミスなく安心(公証人+証人が必要)
話し合いのタイミングとコツ
親の体調が安定しているときに
家族全員を集めて「情報共有」の場をつくる
感情的にならず「確認」「共有」として進める
親の体調が安定しているときに
家族全員を集めて「情報共有」の場をつくる
感情的にならず「確認」「共有」として進める
3. 不動産や農地の評価・名義確認をしておく【税金対策の要】
なぜ不動産の「評価」が大事なのか?
相続税は、土地や建物の「評価額」を基に計算されます。
現金と違って、土地は評価が低く抑えられることもある一方で、納税資金に換えにくいという問題もあります。
土地の評価方法の種類
種類 | 評価方法 | 特徴 |
宅地 | 路線価方式 or 倍率方式 | 路線価は毎年国税庁が公表 |
農地 | 固定資産税評価 × 農地倍率 | 農地ごとの倍率が異なる |
山林 | 固定資産税評価 × 山林倍率 | 売却しにくく評価が低め |
相続税対策としての準備
生前に土地を分筆しておくと、分けやすくなる
利用していない土地の売却・転用を検討
小規模宅地等の特例が使えるように家族の住まいの状態を確認
名義が「亡くなった祖父母のまま」になっていないか確認(未登記不動産は要注意)
【よくある質問】地主・農家の相続準備Q&A
Q1:親が話を嫌がるときはどうすればいい?
→ 「いざというとき困るのは私たちだから」とやさしく伝えましょう。
特に「農地をどうするか」「兄弟間で争いたくない」と伝えると、話が進みやすいです。
Q2:兄弟が話し合いに乗り気でない場合は?
→ まずは親と自分だけで情報を集め、共有資料を作ってから話を持ちかけましょう。
「自分の意見を押し付けない」ことが、兄弟間トラブルを防ぐポイントです。
Q3:相続税がかかるか不安。計算してもらえる?
→ 相続税の試算は、税理士や相続専門のFPに相談しましょう。
資産状況と家族構成によって大きく異なります。
【まとめ】親が元気なうちに「見える化・意思確認・不動産整理」を
親が高齢になってからでは、相続準備は急に進められません。
特に地主や農家の場合、資産が多いぶん、「争族」のリスクも高くなります。
✅ 今のうちにやるべき3つの準備をまとめると:
資産の棚卸し(何を持っているかを整理)
親の希望を確認し、遺言書も検討
土地の評価・名義・相続税対策の下準備
「相続の準備」と聞くと、縁起が悪いように思われがちです。
でも本当は、“家族みんなが笑顔で暮らしていくための準備”でもあります。
今だからこそ、できることを、少しずつ進めていきましょう。