農地の相続は、ただ「名義を変えればよい」というわけではありません。
農地には特有のルールや制度があるため、注意を怠ると思わぬ税負担やトラブルにつながることもあります。
この記事では、農地の相続で特に気をつけておきたい「3つのポイント」について、やさしく解説します。
ポイント1:農地のまま相続する?宅地化する?用途で大きく変わる相続税
農地の評価額は、「農地」として使うことを前提に計算されるため、宅地などに比べて相続税評価が低くなります。
将来的に宅地化(転用)を考えている場合は、評価が高くなる可能性があります。
純農地として使い続ける場合
→「倍率方式」や「宅地比準方式」で評価され、比較的低額に抑えられる
宅地へ転用する予定がある場合
→「宅地見込み地」とみなされ、宅地に近い評価額となる可能性がある
農地のまま相続するかどうかで相続税額が変わる可能性があるので、将来的な用途も含めて検討しましょう。
ポイント2:納税猶予制度の利用(一定条件を満たせば相続税が大幅軽減)
「農地等の納税猶予制度」は、一定の条件を満たすと、相続税の納税が猶予され、最終的に納税が免除される可能性もある制度です。
農地等の納税猶予制度を使うには以下のような条件があります。
・相続人が農業を引き継ぐこと(農業後継者であること)
・農業委員会に認定農業者として認められていること
・相続税の申告期限(10か月以内)までに申請手続きすること
申請後、途中で農業をやめたり農地を手放すと、猶予されていた税額を一括で支払う必要があるため、長期的な計画と後継者の意思確認が重要です。
ポイント3:共有名義は要注意!後々のトラブルのもとに
農地を複数の相続人で「共有名義」にするケースもありますが、将来下記のような争いの火種になることも。
・農地を売却したくても、共有者全員の同意が必要
・1人でも反対すると活用ができなくなる
・管理や費用負担の分担で揉めやすい
共有名義はトラブルになりやすいので、可能であれば1人が農地を相続し、他の相続人は代償金(お金)で調整する方法がスムーズです。
まとめ:農地の相続は、税金と将来の使い道をセットで考えよう
農地の相続は
・将来の用途により評価額が大きく変わる
・納税猶予制度を活用すれば節税できる
・共有名義はできるだけ避ける
という3つのポイントを押さえておくことで、大きなトラブルや損失を防ぐことができます。
大切な農地を次の世代へ無理なく引き継ぐためにも、早めに専門家に相談し、計画的に対策をとりましょう。